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 ←一目惚れ (巨人♀、人間♂) →巨人の食事
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もくじ  3kaku_s_L.png 1話完結
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【一目惚れ (巨人♀、人間♂)】へ  【巨人の食事】へ
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1話完結

まるで少女マンガのような(巨人♂、人間♀)

 ←一目惚れ (巨人♀、人間♂) →巨人の食事


「……こんな所で何してる?チビ」
「同じ講義の子達にここにいるように言われまして」
「……無理やりか?」
「えぇっと、引っ張られて来て落とされたのは事実ですけど……でも、いてくれといわれましたし……」
「……ここ、巨人用のゴミ捨て場だぞ」
「ふぇ?……何かを探すのを手伝ってほしかったのでしょうか……」

ゴミ箱のような人間から見れば広大な空き地のようなフェンスに囲まれたスペース。
人間から見れば深さ五メートル以上はあるだろう、穴を掘った中にフェンスの網でつくたれたカゴが設置されただけのその簡易なゴミ箱半分ほどまで詰まっているゴミ山の上にちょこんと佇んでいた人間の少女に、そこの清掃に来た巨人の彼はずり落ちた眼鏡を指で戻しつつ目を白黒させて。

問いかけた言葉に帰ってきた世間知らずというか、抜けた反応に思わず眩暈を覚えて額を押さえてからそのゴミ山の上の少女をつまみあげた。
少女は目を数回瞬かせた後ににっこりと笑って。

「ありがとうございます。どうやって出ればいいのか、ずっと考えてましたから」
「そ……そうか……まぁ、よかったな……?」

少女の反応にどう答えたら良いやら。とりあえず出ようと考えていたらしい一般的な思考はあると何処かホッとした心持ちで彼が声を上げた後、少女はあ、と摘みあげられた状態のまま声を上げてキラキラと輝く瞳で彼を見上げる。

「私、荒漉 小夜(あらすき さよ)と言います。お名前教えてください!」
「……瑠維」
「瑠維さん!わぁ、初めて巨人の方と顔見知りになれました!私、嬉しいです!!」
「……変わってるなお前」
「ふぇ?」
「……普通怖がるだろ。宙吊りになってるこの状況……」

「何でですか?」

瑠維の言葉にきょとんと不思議そうに返してくる小夜。
その様子に、逆に瑠維もぎょっとした顔をして再び瞳を見開き。
「何でって……」
「瑠維さんは私を助けてくださったのでしょう?
 それに、摘んでいる私を落とすこともないのでしょう?
 だったら、怖がるのは失礼です」
「……やっぱりお前は変わってるな」
「そうでしょうか?」
「あぁ。変わってる。だが……悪くはない」

瑠維の口角がニヒルに見える笑みをかたどると、小夜を握りなおして自分の服を見下ろし。
手に握りこまれた小夜はそれを不思議そうに怖がりもせずに眺めて、やがて瑠維が自身の着ているパーカーのフードを摘んで。

「これから俺はここの清掃をしなきゃいけないからな……人間の出入り口に後で送ってやるから、その間ここに入って掴まってろ」

そう小夜を見下ろしなおして呟いた言葉。
その言葉に小夜はしばらくきょとんとした顔をしていたが、やがてにっこりと微笑んで。
「はい。わかりました。
 お世話になります」

頭だけ出ている状態で、首を動かしてぺこりとお辞儀をして返し。

やっぱりこいつは変わってる。

瑠維はそう思ってフードにゆっくりとその小さな身体を落とす。
ぽとりとものが入った感触。

「落ちるなよ」
「わぁ、高いですねぇ……!
 しっかり掴まってることにします!」
「あぁ、そうしてくれ」

そんな会話の後で。
清掃を開始した瑠維の一挙一動で視界がめまぐるしく変わるそれに嬉しそうな声を上げる小夜。
後ろで聞こえるその声がなんだか面白くて。
清掃が終わってもフードに入れたそのままで瑠維は人間の入り口のほうへと歩いていた。
人間と巨人が合同で入れる唯一の大学。

基本的な進化は一緒の宇宙人同士で、ただ違うのはその体躯と科学力。
教員も人間、巨人と隔てなく豊富にいる大学だ。
ただ、体躯の違いゆえに通学路はしっかりと分けている。

同じ入り口にして人間を巨人が踏み潰してしまったらいけないと。

だから通学路そばに行ってから、膝を突いてフードから小夜をつまみ出そうとし。
小夜からその指に飛びついてくればその感触にピクリと震えるも指でそっと摘んで持ち上げ、手の平に持ち直すと通路の中に手をさしいれて小夜をゆっくりと滑らせ落とす。

「楽しかったです!」
「それは良かった。なんだかんだで俺も少し楽しんでいたしな。
 やっぱりお前は、変わっている」
「ん……瑠維さんにならそういわれても素直に受け入れられそうです」
「ククッ、何回も言ってるからな……それじゃぁな。
 もう連れて行かれてもあんなところには落とされるなよ?」

下ろされると同時に服を正して振り返りながら上げられた小夜の元気な声に、瑠維も静かに答えて。
ポン、と軽く指先でその頭を撫でて指先を離す。
それに嬉しそうにまた声を掛けてくる小さい存在。
瑠維は喉の奥で笑って、最後に一声掛けると眼鏡をはずし、ケースに直しつつ立ち上がって巨人側の通路から歩いて先に大学から出て行った。
小夜もそれを手を振って見送りつつ、パタパタと走って大学から飛び出していた。




そして翌日。



二人はまた互いの姿を見つけていた。
また、あの簡易な巨人用のゴミ捨て場で。

講義も全て終わり、帰り支度をしてそのゴミ捨て場にゴミを捨てに行った瑠維は、少し離れた場所からその横に人間がいるのを見て思わず足を止めて。
複数人いるように見えるそれに、普段は勉強や清掃時以外は外している眼鏡をはめて遠目からまじまじ眺めると、ぼんやりとしたその姿もはっきりと見て取れるようになった。
昨日ゴミ箱から摘み上げた小夜らしき姿も目に入って。
その姿がゴミ箱のほうへ違う人間の女に引っ張られれば抵抗しているような姿が見えて。

昨日と同じことをされかかっている?

そう思えば、眼鏡の奥の瞳を剣呑に細めて止めていた足をそちらに向かって踏み出していた。

「おいチビども……何してる?」

静かに、しかし声量は大きめに。
そんな声を上げながら。

























小夜は再び同じ講義の子達に呼ばれ、再びあのゴミ捨て場へとつれてこられていた。
「あの、昨日は私、今日もですけど……なんでここに呼ばれるんでしょう?」
「昨日はオブラートに包んでたけど、まさか出れたなんて驚きね」
「意外に運動神経あるとかぁ?」
「それか、たまたま来た誰かに助けてもらったか……なんてないわね。巨人から見たら私たちなんて虫ケラでしょうし?」

「えっと、あの。質問の答えが」

「もうちょっと考えなさいよお嬢様?ここはゴミ捨て場よ?んで、私たちは貴女をここに突き落としたの。この意味わかる?」
「私たちは、貴女をここに捨てたわけ」

「え」

周りの、小夜より上背の女子たちの言葉に小夜は顔を驚愕に染める。
捨てた?
「……何故、でしょう。私は、人間です。モノではありません」
「えぇそうね。貴女は将来有望なお嬢様。一般の私たちとは格も品性も違いすぎますよねぇ?」
嫌味な言葉。ますます小夜の顔が驚愕から別のものに変わっていく。
周りの子たちの顔は、不機嫌そうなものに変わって。
「あんた気持ち悪いのよ。今時の女にないようなヤマトナデシコ気取っちゃって」
「そんなつもりは」
「それに普段からどんな人にも優しいし頭も良いしテストは必ず一位!しかも普段は勉強に関係ない小説ばかり読んでてさ……
 そのくせ一位を取って教授とか周りに褒められても、『特別なことはしてない』の一言。必死に勉強してるこっちの身にもなりなさいよ!!」

「あんたの存在が許せないし邪魔だしむかつくわけ。だからもう、消えてよ」

言葉を遮りやってくる暴言の嵐。
何故、なのか。
普段の自分はそんなにいけないことをしていたのだろうか。
ただ自分に正直に、素直にしているだけなのに。
猫を被ったりとか、人を欺くようなことをしたくないだけなのに。

そんなことを思っても、周りの顔は怒りから気味の悪い笑みに変わるだけ。
小夜の顔色が今にも泣きそうになっていることが愉快らしい。

「だからさ、また私たちが捨ててあげる。
 もう二度とココにこれないように」

グッと腕を握られて引っ張られる。
目の前の腰あたりまであるフェンスの中は、ゴミ箱だ。
ふと、昨日助けてくれた瑠維の言葉が思い出される。

『落とされるなよ?』

青い顔のまま、彼女は初めて周りに反抗した。

「い……嫌、です……!」

地面を踏みしめ、引っ張られる力に対抗するように反対に体重を掛けて逃れようとする。

しかし、力は向こうが上で。
罵声を浴びせかけられながらもじりじりとそちらに近づいていく。
そんな中で。




「おいチビども……何してる?」




大きな、しかし静かな声が響いて小夜も周りも固まった。
全員でそちらを見れば、何処か目を剣呑に細めた巨人が……瑠維がゆっくりと此方に近づいてきていて。

ズシ、ズンッ!

そんな重い音を立てて、最後の一踏みは明らかに意識して強く地面を蹴るように下ろし。
彼は足元の人間数名を見下ろしていた。

「……ココは巨人用のスペースのはずだが?何をしているんだ?」

「あ……そ、その……!」

一人が瑠維を見上げてしどろもどろに声をあげ、残り数名は互いに顔を見合わせる。
瑠維の瞳がさらに細められた。
チラリ、とその視線が小夜を引っ張った姿勢で固まる女子に向けられる。

「……ほぉ。同じ種族をゴミとして捨てようとしていたのか?中々に残酷なことをするな。人間は」

冷たい嘲笑。
ばれた事に周りが固まり、腕を掴んでいた女子があわてて小夜から手を離して。
小夜は唐突なそれに対応しきれずその場に尻餅をついた。
青い顔。
小さいがそれを見た瑠維は苛立ちを覚える。

小夜ではなく、周りに。
自分以外がこの小さな存在を好き勝手に扱っていることに。

小夜は彼の表情を見上げ続けるだけ。
瑠維は持っていた教材の詰まった飾り気のない簡素なショルダーバックをドスッとそこに落として。
その振動に小夜と同じように周りの大半が尻餅をついた。

「……なんだ、残酷なことをする割にたいしたことないな。コレでよろけるか。
 ……さて、一つだけ聞いておこうか……答えろ。そこの小夜を昨日ココに突き落としたのもお前たちだな?」

ギクッと小夜以外の周りが身体を震わせる。
スゥッと剣呑だった瞳がさらに憤り、唇が凶悪に歪むのを小夜もほかの人間たちも見つめて。
ググッと上体を曲げて顔を近づけてきた瑠維がすばやく片足を持ち上げて、小夜たちの少し手前に荒々しく足を踏み下ろした。

ドォンッ、と。

爆弾が爆発したような……というのは言い過ぎかもしれないが。
それに近いくらいの轟音と風を巻き起こして足元の人間たちを転がした彼。
小夜以外の全員がおのおので悲鳴をあげ、近い者同士で身体を抱きしめて寄り添いあう。
それを見下ろして、瑠維は小首をかしげて意地悪く口を動かすのだ。

「……返事がないな……俺は質問してるんだぞ?さっさと答えろよ」

ニヒルに笑う彼の言葉に、誰一人その顔の下にいる人間は動かない。
そんな中で呆然と自分を見上げる小夜を見れば、手を動かして指の背でその小さな身体を撫でてから摘みあげる。

「昨日ぶりだな。小夜」
「えぇっと……はい、瑠維さん」
「いい子だ」

ククッと笑いながら会話をした小夜の頭を指先でつつくように撫でると、昨日とは違い羽織るミニジャケットのポケットにその身体を滑り込ませた。
もちろん、眼下の人間たちから目を離さないまま。

「ほら、さっさと言えよ……言え」

上体を持ち上げて遥か高みから見下すように彼は声色をだんだんと低くしながら声を上げる。
固まる人間たちは相も変わらず動かず、悲鳴のような声を上げるばかり。

「聞こえているよな……俺は、言えと言っている!」

苛立ちをあらわにしつつも噛み含めるように、しかし低い声で荒々しく言い放った彼はさらにもう一度足を踏み鳴らした。
それに甲高い悲鳴を上げる数名の女子。
その後すぐに数名が逃げ出して、ほかもそれに続くように逃げていけば。
それを追いもせず。ただ見下ろし見送って。

「二度とちょっかい掛けるなよ!!」

怒声を投げて数人がこけて、また走るそれを見つめ続け。
やがて消えたその粒のような影に、フン、と鼻を鳴らしてジャケットの裾ポケットに入れた小夜を出そうと手をポケットに入れて。
小さな身体が手の平に入ったのを感じて、包んで引っ張り出す。
手の平に寝転がるようになっている小夜を見下ろして、ニヒルに笑いかけた。

「悪かったな。怖かったか?」

「……瑠維さん……あの……っ」
「何だ?」
「わ、私無意識に皆さんを傷つけているようで……!瑠維さんも、傷つけているのではないかと……!」

まだ青い顔で言われた言葉は。
瑠維を盛大に間抜けな顔にさせて。

「く……」
「く?」


「アハハハハハハハハハッ!!!」


唇を歪ませてうめいて、それを泣きそうな顔で涙のたまった瞳を彼に向けたまま繰り返した小夜。
しかし、ついで歪んだ唇から吐き出されたのは、愉快そうな本気の笑いで。
それに小夜はわけがわからず表情を思い切り青い顔からびっくりした顔へと変えた。

「え、えぇ!?瑠維さん!瑠維さん何で笑うんですか!?私」
「この馬鹿が」
「ひぇぅ!?」

反論の最中、グイッと顔を近づけて笑いを唐突に消した怖い顔の瑠維に罵倒されれば、奇妙な悲鳴を上げて小夜は固まった。
「俺はお前に傷つけられてない。俺はそれなりにプライドが高いからな。傷つけられたならお前にもああいう仕打ちをしているさ。
 お前は何も悪くない。あいつらの一方的な妬みだろ。どうせ。
 女の恨み妬みって怖いらしいからな」
詳しい話は知らんが予想がつく、と声を出す瑠維を見上げて、小夜は涙がこぼれていた目を見開く。
「じゃぁ、私……このままでいいんですか?」
「良いに決まってる」
「でも、もしかしたらまたこんなことが」
「そういう時は俺を頼れ」
「……あの、そのときそばにいなかったら」
「大声で名前を呼べ」

「絶対聞こえなさそうです!」

「そうかもな。
 だが……気に入ったものを傷つけられるのは気に入らない」

その言葉に小夜は上体を起こして、瑠維をしっかりと見上げて。
「瑠維さん」
「なんだ」
「二回も助けていただいて、有難うございました」
「……ああ」
「これからも、よろしくお願いいたします!」
「…………こちらこそ」

青い顔ではなくなったもののあふれてくる涙を流しつつ泣き笑いのような、泣いているせいで紅く染まる顔色で嬉しそうに声を投げてくる手の平の上の小夜の言葉に。
静かに返しつつ瑠維はその場に座ってバッグからティッシュを出して、その一枚を小さな顔にやわらかく押し当てて涙をぬぐう。
それに嬉しそうに、恥ずかしそうにする手の中の小夜の様子に瑠維は何故か胸が一度、高鳴り。
疑問に思うも表情は変えずに、何食わぬ顔で小夜の様子が落ち着くのを待って。
また同じように通学路まで送っていったのである。








「おい小夜」
「なんでしょう?」
「携帯持ってたら番号教えろ。俺も教える」
「はい!いいですよ!
 ……巨人と人間の携帯って、通信できますかね?」
「……さぁ?試すか?」
「はい、試しましょう!!」







それから数日後。
暇さえあれば大学の構内で瑠維が小夜を探して引き連れている姿が度々目撃されるようになり。
大学内で初めての異種族カップル誕生、という噂が流されて二人そろって顔を紅くすることになるのだが、それは少し先のお話。
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