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もくじ  3kaku_s_L.png 1話完結
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1話完結

【人外注意!】とある人魚と人間の話(巨ケモ♀、人間♂)

 ←神と生贄(イメージ) →巨人な執事?(巨♂、小♂♀)


「なんで、貴方はここに来る?」
「酷いね。君に会いに来てるんじゃない」
「……物好き。お兄さん」
「こんなオイラと話している君も、相当な物好きだと思うけど?」

あまり人間が立ち入ることがない、鬱蒼と生い茂る森の中。その奥にある広い湖。

そこに湖に身体を半分ほど沈め、上半身を地面に寝転がすように放り投げている少女と。
その少女のからすれば人形のような大きさの男が一人。
澄んだ湖から見える少女の下半身は魚の尾そのもの。
少女は、顔の傍で座り込む“人間”の男をじっと見つめた。
男もまた、少女のぬれた白い頬を小さな手で撫でるように触る。

「君の肌はやっぱり艶々だね。ハリがある。健康な肌だよ。唯一白すぎるのが残念だ」

「……変わったヒト」
「君だってそうだろ?オイラとこうやって話してるんだ。
 この森の魔物たちはみんな人間より大きいから、人間なんてちょうどいいエサだろうに……まぁ、君から見れば彼らもまた、丁度良いエサなんだろうけど」

「……貴方を……食べようとは、した」

「あぁ。そうだったね……でも、君はオイラを食べるのをやめたんだ」

にっこりと言い返す男。
あまりにもあっけらかんとしたそれに、少女は瞳を彷徨わせて困惑して。

するりと身体を少女からすれば泉ともとれる湖に戻して、腕だけを淵に乗せてはまたその上に顎を乗せ、男を興味深そうに見下ろす。
男は少女の動きに合わせてそちらに移動して、目の前に立ってまた子供を可愛がるように少女の額を撫でる。












何時から一人だったのか、もう少女は覚えていなかった。
水の中で、ただの魚と共にずっと過ごしていた。
腹が減れば、水を飲みにきたらしい魔物を不意打ちで襲い、捕まえては食らっていた。
そして、目の前のこの人間の男の場合は。

他の魔物に襲われて、逃げてきて。
その魔物が追いかけて来た所為で水に落下してきた。
初めての出来事で、思わず少女はその姿を両手で受け止めるように捕まえて、苦しそうにしているその姿をただ見つめて。
意識を手放したところで、上のほうへと上ってやってきていた魔物を捕まえていた。
しゃべることのないただの獣のような魔物。
片手でぐったりとしているがまだ生きている小さい、そのとき初めて見る人間の彼を陸地に転がしては魔物を食べて。
そんな中、彼は自力で復活していた。

少女はきっと彼が上げた悲鳴を。男はきっと目の前で自分の倍はある魔物を獣のように食らっていた少女の横顔をきっと忘れることはない。

悲鳴に瞳を見開いて一時食事を中断して男を見下ろした少女だったが、目を見開く男に顔を寄せて。
暫くしてから身体の半分を食い散らかされてもまだ呻いた魔物のほうにまた顔を寄せて食らいはじめていた。
そんな様子を、彼は呆然と見つめるままだった。
骨まできれいに食べて陸地に赤い血の名残が残り、それを水をバシャバシャとかけて洗い流す。
水が彼にも飛んだが、彼は何も言うこともなく、少女を見上げ続けていた。

「「……」」

視線を絡め。それでも無言の奇妙な空間。
巨躯を動かし、男の前に男を握りこめるほど大きな手の平を置いて、顔を寄せて少女は反応を見つめる。
身体を震わせた男を見下ろし続け、やがて舌を伸ばしてその身体を舐めてみた。
冷や汗でも流していたのか、少ししょっぱい味に少女は舌に手を当てて押し返す小さな動きを見てから、その小さな身体を地面に倒して、押さえつけて。

一口大の大きさの頭を口にくわえ込んだ。

しかし、その後魔物のように彼は暴れもしないし呻きもしない。
舌で下から舐め上げても、苦しそうな声を上げるだけ。
普段とは違う獲物の反応に、少女は困惑して口を離して改めて小さな男を見下ろしていた。

「……なんで、暴れない?」
「あの魔物を食らった君から逃げれるなんて、オイラ思ってないし……っていうか、しゃべれたんだね?」
「……一応……は」
「ふぅん……あぁ、でも。オイラさすがにちょっと舐められるのは驚いたよ。一気にこう、ガブッていかれると思ってたからさ……あはは」
「食べられたい?」
「いや、そういうわけじゃないけど!
 ……でもまぁ、一応は君、オイラの命の恩人だし……その恩人に食わせろって言われたらまぁ、オイラ食べられるしかないよね」
「オンジンって何?」

「えぇっと……魔物だから知らないのかな?
 恩人ってのはね、その人を助けてくれた人をさす言葉だよ。
 だからこの場合、オイラは君に助けられたから。だから、君はオイラの恩人」

「……水に落ちて、勝手に意識なくして、勝手に復活したのに?」

「あれ?そうだったの?」
男が呆然と声を上げれば、少女はコクコクとうなずいた。
「……じゃぁ、オイラ逃げたほうが良かったり……?」
「……今は、そんなにお腹すいてない。あれ食べたから」
「じゃぁオイラ食べようとしたのは?」
「……おやつ?」

「疑問形で返されてもオイラ困るよ!?」

「……変なヒト」
会話をするうちに、少女はスルスルと身体を湖に戻して首だけを出して男を見つめる。
男はそんな彼女を見つめて、少し困った顔をした。
「オイラどうしたらいいのかな?」
「……帰らないの……?なら、食うよ?」

「いや、迅速に帰らせていただきます。迅速に」

少女の無垢な恐ろしい発言に男は後退って声をあげ、脱兎のごとく逃げるように走っていく。
その姿が森に呑まれたのを見てから、少女は水の中へとまたもぐり。

そしてその翌日。

また魔物に追い掛け回されてやってきたその男を魔物から助けるように邂逅して。
そして、またその翌日もそれを行った。

毎日毎日。

男が来るのが当たり前になり、少女は知らぬ間に男を食物とは見ないようになってしまっていた。










そうして今現在。
男は少女の額を撫でている。






「君のような大きい人魚は見たことがないよ」
「私、だけ?」
「そう、君だけ。
 でも君を街の魔術師どもに報告するのはなんかもったいないから、言うのはやめるよ」
「……なんで……もったいない?」

「だって、そうしたらオイラと君だけでのこういうおしゃべりができなくなっちゃうかも知れないからさ。
 魔術師どもは頭でっかちだから、きっとオイラを魔物が化けてるとかって殺すだろうし、君のところにも来て君に危害を加えるかもしれないからね」

「人間って……危険?」

「一部はね。でも危険と言っても度合いはそれぞれだけど。
 オイラは除外してよ?君とおしゃべりするの楽しいんだから。君の食事風景はまだ慣れないけど!」

悪戯っぽい男の言葉に、少女は首を傾げる。
どういうことかと考え出す少女の様子に男は困ったように笑って、それを見た少女はなんとなくその乾いている服や肌を見て。
水の上に尾の先を出して、男をそれで軽く突く。
「わぷっ。ちょ、ちょっと!オイラ、ビシャビシャになるって!」
「濡れるの、気持ちよくない?」
「人間は気持ちよくないよ!」

「……覚えた。ごめん」

「いや、そんなシュンて謝られると……!」
尾を水に戻して、何処か落ち込んだ様子の少女を男がなだめるように頬や額をこするように撫でると、少女は瞳を瞬かせてうっそりと細める。

「ねぇ」

「ん~?機嫌直った?」
「……頭や額……気持ちい……」
「撫でてるだけだよ?」
「なでる?」
「そうだよ。オイラは君を撫でてるんだ」

撫でる。
その言葉を覚えるように少女は口ずさむと、片手をゆっくりと動かして濡れそぼってしまった男を同じように撫でてみる。
が、力加減を間違えたか、男は思い切り少女の額に頭をぶつけていた。

「っ~~~~!!」
「だいじょぶ?」
「……うん、撫でるのはいいけど……もうちょっと、優しくね?」
「……難しい」
「体格の違いだよ。オイラは君に比べるとかなり小さいからね」

ポンポンと額を叩かれて、少女は男を見つめて。
離れて見える顔ををじっと見つめていた。

「ねぇ、オイラはケルミーっていうんだ。オイラの名前。
 もう友達だし、名前で呼び合わないかい?君ももう、オイラを食べ物とは見てないんでしょ?」
「名前……?」
「あるだろ?」

「……ちょっと待つ」

「え?うん、分かった」
不意に、唐突に始まった自己紹介。
少女は名前を聞かれて戸惑い、自分の寝床にある転がっているものや魚たちに聞いてみようと水にもぐる。
男……ケルミーは少女の様子に首を傾げながらも、その場に座って少女の帰りを待っていた。


それから暫くして、少女はケルミーからすれば大きなプレートのようなものを摘んで帰ってきた。
それをケルミーに差し出し、彼はそれを受け取ってきょとんと少女を見上げる。

「字、読めない」

「あぁ、読めってこと。
 えぇっと……グレイスって書かれてるみたいだね。オイラの地方の読み方で間違ってなければ」
「じゃぁ、それ」
「え?コレが君の名前?本当に?」

「魚に聞いたら、コレの周りでみんな泳ぎだした。だから、たぶんコレ」

「あぁ、そうなんだ……え?じゃぁ君、今まで自分の名前知らなかったの!?」
「ん」

見た目の割りに子供っぽい動きでうなずく少女……グレイスにケルミーは苦笑して。
また傍に戻ってきた顔、その目元に手を当てて擦るように撫でてやる。

「じゃぁ、忘れないようにずーっとオイラが呼んであげるよ。
 だからオイラの名前もちゃんと覚えて呼んでくれよ?グレイス」
「……ん……ケルミー」

「よしよし!……そうだグレイス!オイラ前から聞きたいことがあったんだ。
 ねぇ、水の中にはまだ君のような人魚とか魔物っている?」

ケルミーのまたも唐突な問いかけに、グレイスはきょとんとしてから首を振る。
なんで?と首を傾げる彼女を見上げて、彼は嬉しそうに顔を輝かせた。

「今度オイラ、君と一緒にここで泳いでいいかな?君の泳ぐ姿を見たいんだ!」

「……良い、よ?」

「ありがとうグレイス!」

嬉しそうなケルミーの顔を見て、グレイスも瞳を瞬かせてから僅かに頬を赤らめる。
その翌日から、暑い時期には湖で遊泳を楽しむ彼らの姿が見えるのだが。
それを見るものは誰一人いない。

なぜなら、そこは魔物がはびこる危険な森の奥深くなのだから。
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