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もくじ  3kaku_s_L.png 1話完結
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1話完結

ある魔物と異邦人の話(巨♂♀、小♀)

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ベロリと顔を舐められる感触に少女は瞳を開ける。
目の前にある、生温い息を吐き出す赤黒い湿った空洞。手前にある牙。

「もうちょっと……寝かせてよ」

「いい加減に腹が減っただけだ。何かとって来ていいか?」
「……人里からはダメだよ……?もっとも、人間とか人間の家畜食べたって、君のお腹膨れないだろうけど」
「嫌味はいらない。とりあえず魔物か獣、食って来る……勝手に出るなよ?」

「大丈夫……まだ寝とく……」

「分かった。ではな」

赤黒いそれが閉じられたり開いたりを繰り返す。
時折見える肌色。会話の後に離れていく巨大な獣耳の生えた男の顔。
最後の確認めいた言葉に彼女が小さく頷いてもぞもぞと彼の吐息で湿った草木のベッドに体を埋めれば、その身体を顔を寄せた彼が鼻先で撫でるように突いてから離れていった。

巨大な足音と振動が離れて消えていくのを感じた少女は、瞳を閉じた。

すっかりと野生児のような生き方が慣れてしまった。
眩暈を覚えて目が覚めたら、まったく知らない外の世界。
巨大すぎる空洞、何かの野生動物の住処のような穴倉に目を白黒させていた中で、足音や振動とともに現れたあの巨大な彼。
目ざとく小さいはずの自分を見つけた彼の動きが素早く、逃げる前にやってきた鋭利な爪の生えた手と紅い瞳に威圧され、腰を抜かしたのが懐かしい。
縦に細長い瞳孔。獣のようなそれは警戒や興味を示して自分の姿全体を写し、時折僅かに動いていた。

喰われる。本能的にそう感じてしまって震えた。

『……町の奴らとは装いが違う……ここの土地の臭いでもない……』

グイッと顔が寄って来て上体を僅かにそらしたが、意味もなく巨大な鼻先が肩を掠める。
獣くさい臭いが彼女の鼻腔をくすぐった。
スンスンと獣が臭いを嗅ぐような音が横で響いて、空気が動く。
恐怖に近いもので固まる彼女をよそに、彼は顔を離して。

『どこから来た?』
『……え、と……!?』

錯乱していてその後のことは良く覚えていない。
いない、が。

話の末でどうやら彼に気に入られたらしく、気がつけばここにいることを決められていた。

姿形は人と変わらないが、その格好はぴったりとした毛皮のタイツをところどころ纏っているような装いで頭には獣耳の生えている巨大な男。
手で掴みあげられるということはなく、腰を抜かしていた彼女にまた顔を近づけて目の前で口を開き、舌で身体を起用に手繰り寄せて口に咥えて持ち上げた。
それから寝床のような場所に持っていかれ、降ろされて。
巨大な黒い獣に変わった彼が自分の身体をくるんで寝転がった。
まるで親が子を包み眠るような体勢。

獣が別の獣の親になることもある。
ある動物園で、犬が虎とブタに乳をやって育てたというニュースもあったように。
それと同じ原理が、今自分に降りかかっているのだろうか?

わけもわからなかったが、とりあえず人間なんて温かくなれば眠くなってくるもので。
眠りに落ちて目覚めた翌日。
自分ひとりだけだったあの空洞から逃げようと出たところで、今度は手で掴みあげられた。
その後、人間がこの森では一番弱く魔物に狙われる。食われたくなければここにいろと脅しのように言い放たれた。





後日、彼はその成れの果ての人間を獣姿で咥えて持ってきた。






見たこともない簡素な装いをした男だったが、片足は千切れ、片腕は肩と骨が外れて筋のようなものでぶら下がっている。
ドチャリと落とされたそれを見て、悲鳴なんて出てこなかった。

喉が凍り付いて、視線を外せなかった。

影が更に大きくなる。
彼が人になった合図になっていた。
ゆっくりと、無理に死体から視線を外して彼を見上げる。
太陽を背にしている彼の表情は良く分からなかったが、それでも瞳は爛々と輝いていた。

『……はっきりといえば、俺は人間なんてどうでもいい。ただのエサという認識しかなかった』

あの時の俊敏な動きを思い出す。捕食される側の獲物の気持ちに、確かになっていた。

『だけどお前の話は面白い。ここの奴らとは違う。この人間たちとは違う。だから俺はお前を喰わない。
 ……俺がお前を護ってやる。でも』

鋭利な爪の伸びた指先を、事切れた人間の身体につきたてた。
その音にそちらを見てしまって、若干の後悔をした。
死んだ後だと分かっているのに、その顔の瞳と瞳があった。

吐き気がこみ上げてくる。

ゆっくりと爪に刺し貫かれた身体が持ち上がり。それを追いかけたくなくても視線で追いかけてしまった。
彼の口元で止まったそれ。
彼の赤い目と、自分の瞳が、視線が絡んだ。

『俺も人間という生き物を喰うことは覚えていて欲しい』

言葉と、その後彼がその死体を口に入れて骨を噛み砕く音と。
それらに金槌か何かで頭を殴られたようなショックを受けて、彼女は気を失った。

人間なんて、無力な生き物だと。
彼女は自分で理解はしていても。



食料にされるなどと誰が思うだろうか。




こんな、人とそっくりな獣に。






まだ、獣の姿の彼が食べてくれたほうがショックは少なかったと目が覚めた後打ち明けたらそれでは意味がないと言われた。

そうして日が過ぎ、現在。

そんな過去を夢として思い出した彼女はいやな汗をぐっしょりとかいて跳ね起きていた。


「……気持ち悪い」


水で身体を清めたい。水をたらふく飲んで胃の中のもの全てを吐き出したい。
しかし彼は獣だ。人間ではない。水を住処においておくなど、考えられない行為だ。
よってこの場所には食べ物も、水もない。

彼女の服はもう数日で汚れきり、ボロボロになっていたので彼が腹ごしらえで襲った村から適当な服を持ってきていた。
着る気にはなれなかったが、裸でいるよりはマシだった。
村一つを襲って女子供を含めた住人全てを喰っても腹八分目にも満たないらしい彼。
だったら、人を食べるのをやめて魔物とか獣食べればいいのに、とぼやいた彼女にその手があったと納得した彼を見て、バカだと思ったこともある。

そんな時、振動と足音が響いて戻ってきた彼を見て。
彼も、跳ね起きて僅かに身体を震わせている彼女を見て。
早急に傍によって顔を寄せていた。

「何かあったか?襲われでもしたか!?」

「夢見が悪かっただけ……」

「お前のそんな姿や表情は見たくない」
心配そうな言葉の後で、彼の口が彼女の視界一杯に広がって僅かに出した舌先でちろちろとその顔を嘗め回す。
「汗の味。怖い夢でも見たか?俺がいなかったからか?」
「……君が人間食って見せたのがトラウマで残ってるだけ」
「……お前は喰わないのに、それでも怖いと思うのか」
「当たり前……人間という種族ではあるもの」
彼女の言葉に、彼は耳を僅かに垂れさせて。
鼻先で彼女を押し倒してベロッとその身体を舐める。
ペロリペロリと服の上から舐めて、口を僅かに開いて彼女の身体を横向きにくわえ込んだ。

「なに」

彼女が言葉を投げれば。口からくぐもった声で水場にいく、と聞こえて。
彼と彼女しか使っていないらしい広大な湖へと彼が立ち上がって歩いていくのに身をゆだねていた。



















水辺について、浅い場所に落とされる。
水でビシャビシャになるのにも慣れた。
服を脱いで下着だけになり、身体と服を洗う。
振動が迂回して離れて行き、離れた場所で彼が身体を水に浸けて身体を胸元まで沈める。
結構な深さがあるらしい。
彼が入ったことで浅いここの水位が若干上がるがまだ足はつく。問題はない。
汚れを確認し、しわを伸ばした服は傍の岩に貼り付け乾燥させて。
そうした後で水に潜って髪を中でワシャワシャと乱雑に洗う。
ぷは、と水から顔を上げると少し波が起こって左右に巨大な手指が置かれた。

「気持ち悪さは取れそうか?」

「そうだね。汗は流せて満足よ。君の唾液も取れたし」
「お前は俺のものだと周りに認知させたいだけだ。
 この森で、俺に敵うヤツはいないが……魔物ではなく人間に連れ去られたらかなわないからな。
 念のためのマーキングだ」
「君は……なんで其処まで僕にこだわるの?もう僕は珍しい話なんて出来ないよ。
 君と同じ臭いや土地の臭いに染まってしまって、もう異邦人とはいえない」
「……それでも、お前は特別な人間だ……俺はお前を手放したくない」

水の中に口を埋め、鼻を自分の身体に擦り付けてくる。
動物が鼻先を飼い主に押し付けるようなしぐさ。
甘えるようなそれに彼の瞳を見ようとしたが、その瞳も何処か気持ちよさそうに閉じられていたため。
瞳の色を読むことは出来なかった。

「……人間を食い物にしていた魔物が、人間に甘えるの?」
「……お前は特別だ……そう言った。お前は、俺を化け物とは言わなかった。初めての会話の最中にも、咥えた後でも。悲鳴一つ上げなかった。
 頭の中でどう思ったかは分からないが……
 それでも。口で悲鳴も上げなかったのはお前が初めてだ。会話もしてくれた」

瞳が薄っすらと開いて、顔を離されると同時に投げた問いかけに静かに答える彼の瞳は嬉しそうで。
言葉を捜す彼女をその瞳のままで少しの間見つめていた彼は不意に耳を震わせて、水を見つめた。

「ちょうどいい。今晩のエサを早めに調達しておくか。魚を取ってくる。後でお前の好きな果実も取りに行こう」

一人そう言うと、彼はゆっくりと自分から離れてもといた場所に戻り水にもぐりこむ。
どうやら今晩は魚を焼くらしい。彼のサイズだから巨大なのだろうが。
狼のような魔物が魚を食べる方に驚きだが。
彼が狩りをしている間、ならゆっくりしてようかと水の中で力を抜いて水面に浮かぶ。
浅瀬の上にしか行かないように注意を払いながら時折手と足を動かして位置を調整していた。
そして、陸のほうから聞こえた足音に水を掻く動きを止めて。
暫くしてまだ響くそれにゆっくりと服を貼り付けている岩の陰に移動し、隠れる。
足音が近くなり。心音が高鳴った。

別に悪いことをしているわけではないが、コレが魔物だったら自分はどうなるかと考えて。
彼が持って帰ってきた男の死体の姿が脳裏によぎる。

あんな風にはなりたくない。

ガサッと傍で音がして、身を硬くする。
そうして影が自分を覆って、バッと上を向けば。

久方ぶりに見る生きた人間が立っていた。
屈強そうに見える男が二人。
手には猟銃のようなものを持っている。

「……っ」

この場合、どうすればいいだろう。
声を上げるべきだろうか。その場合は羞恥で?恐怖で?彼に助けを求めるため?
思えば思うほど理由が明確にならず、声は出ないまま喉の奥で形にならず飲み込まれた。

「お、お嬢ちゃん!!こんな所で何してんだ!!」
「ここは魔物の巣窟ですよ!家はどこですか?今すぐ出て!送ります!!」

「え、あ」

どうしよう。どうすればいいだろう。岩陰から離れて、伸ばされたがっしりした手を見つめる。

「何を呆けているんです!?」
「お嬢ちゃん!ホラこっちに!!」

「あっ……イヤ……ッ!!」

グッと勢い良く伸ばされた別の手に腕を掴まれ、思わず悲鳴を漏らす。
刹那。
周りの空気が一気に冷えた気がした。

「――――え……?」

感じ取ったのは自分だけではないようで、目の前の男二人も顔を少し強張らせている。
ゴポ、と。
大きな気泡がはじける音が後ろで響いた。
グイッと男に手を引っ張られ。瞬間。
後ろから急激に上った水の波に人間たちは飲み込まれた。
男たちは陸地の上を数度転がり、その傍に内臓のあった辺りを食いちぎられた死に絶えた巨大な魚が落下した。
彼女は、水の僅かにたまる巨大な彼の手の平の上に座り込んで咳き込んでいた。

「愚かな人間ども……!性懲りもなく来たか……!
 しかも今度は俺のものに手を出した……余程喰われたいと見えるな……!!」

落ち着いてきたときに上から響いてきたゴリッとした物を含むドスの利いた恐ろしい声に彼女は身体を震わせて彼を見上げる。
彼の顔は怒りにゆがみ、目は凶悪に揺らいでギラギラとすさまじい眼光を眼下の人間二人に向けていた。

「怪我はないか……」

そんな表情と視線を離さないままに響いた声に、彼女は一瞬硬直したが、視線を向けられてハッとすると細かく震えだした手の上で指に抱きついた。

ピクリと手全体が震えるが、できるだけそっと彼女の身体を手の平を閉じて包み込む。

ズン、と重い音が響いて。
ビチャリと自分の身体を包んでいる手が水に浸けられた。
手指の隙間から水が流れ込んでくるのを理解したから。
手が開かれて、また水の中に戻される。
彼の手が上に水滴を零しつつ離れていった。

「化け物……!少女をたぶらかしてどうするつもりだ!」
「人間は玩具ではないんだ!」

岩陰からこっそりと様子を伺う。
彼と人間二人の大きさの違いがイヤというほど分かった。
自分より大きな男でも、彼から見れば足首以上、脛に届くか届かないか位の大きさでしかない。

「そうだな。あの人間は貴様らよりも出来た人間だ。いい暇つぶしをさせてもらっている……が、そうだな。玩具にはしていない。
 だがお前たちは別だ……四肢を千切って潰して喰ってやる。アイツ以外の人間なぞどうでもいい。
 お前たちは俺たちのような魔物の単なるエサだからな」

見下しきった瞳。冷ややかに足元の人間を見つめる彼の瞳は彼らを対等には見ていない。
ゾッとした。自分のときとの違いに、冷や汗が浮かぶ。
一気に寒くなってきて、水の中にへたり込む。

「お前」

響いた声にビクッと震えて影から、ゆっくりと顔をのぞかせた。

「そこで大人しく待ってろ。何も見るな。何も聞くな……いいな」
「……ぅ、ん」

小さい声しか出なかったが、首を縦に振る。
爛々とした瞳でこちらを見ていた彼の瞳が一度閉じられ、また開けば眼下の人間に戻して。
瞬間、パンッと軽い音が響いて彼が目を押さえた。

「や、やったか!?」

「……砂が入った程度にしか感じんな……だが、高くつくぞチビども」

猟銃を撃った人間に、ニィッと凶悪に歪んだ口で言葉を紡ぐ彼。
ゾッとして、あわてて顔を影に引っ込めて背を向けたとたん。
目に入ったのは、指の間に薄い膜が張られた滑らかな巨大な手指。

え?

声を上げる間もなく。
チャポン、と。
彼女はその手に包まれて水の中に引きずり込まれた。








くぐもって地上の音が聞こえる。
自分を包んだ手指はしっかりと自分を包み込んで放さない。
だんだんと聞こえなくなっていく音にどこか焦りを感じて、彼女はその中で激しく暴れて荒い息を肩で整えた。
そして、其処でふと気がついた。

「……苦しく、ない?」

『気がついた?よかったぁ分かってくれて!』

大きな、それでもかわいらしい声が聞こえてハッと周りを見回す。
覆いかぶさっていた手指が離れて、目の前に目の下から耳にかけて魚の鱗をつけた可愛らしい女の子の顔が見えた。
金髪のショートカットが良く似合う。
青白い肌に、その下の胸は布で覆われることなく今は平らな胸を曝け出し。
更に下を見れば、魚の下半身が見えた。

巨大な獣人に続いて、今度は巨大な人魚か、と。

軽くげんなりした彼女にお構いなしに、両手で彼女を包んでいる空気の膜の様なものを持ち直した巨大な人魚の子供は顔を寄せる。
『あの人が可愛がってる人間ってどんな子なのかなって気になってたんだぁ!森の魔物たちの噂なんだよ?
 あたしやみんなのお兄ちゃんみたいな人だから!
 でも今はちょっと怒ってるみたいだから……ここなら怖い音も聞こえないし、終わった後であなたがいなかったら探しに来るから、ここにいよう?良いよね?ちゃんと空気は上げるから!』

かわいらしい子供の申し出に、彼女は確かに、と上を見上げる。
彼らからしたらなんでもない深さだろうが、自分にとっては深海に近い。
音はまったく響かなかった。

『あの人が人間さんと仲良くなるなんて思わなかったなぁ……
 でも、いま良く見て分かった。なんか今まで見た人間さんと違うんだよね。私見て悲鳴上げるどころか抵抗してるんだもん!』

手の中の動き可愛かった、と明るく言う子供人魚。
あぁ、そうですか。と軽く返したところで。
フッと影がさした。

ザポン、と後ろでそんな音が響いて、人魚の子供が嬉しそうに瞳を瞬かせる。
『あ、お兄ちゃん。きたきた!』
振り向いたところで、見慣れた身体が視界に入りその身体から伸ばされる手が膜を包もうとする。

『あ、あ!ダメだよお兄ちゃん!私以外が触ったら……!!』
『――――ッ!!』
あわてる子供の声に彼の水の中で吐き出される吐息の音が響く。
と同時に。
ボゥッ、と自分の周りの巻くまで消えて、一気に空気がなくなり身体が水に包まれた。

「……ッ!!?」

あわてて口と鼻をふさぐ自分を彼の両手が捕まえて、ザバッと勢い良く水の中から引きずり出した。
水圧に良く堪えれたものだと思う。
一瞬だったための奇跡だろうか。
目の前にある彼の顔は、なんだかとても情けないものに見えた。

「……なんて顔をしてるの」

「……勢いとはいえ、また喰ってしまったからな」
「……人間はエサ、なんでしょ……食物連鎖なら、しょうがないじゃん……」
「私もたまに人間食べちゃうし!」

「「いや、誰も聞いてない」」

「えー!ぶぅ」

かわいらしく彼の腰にしがみつく人魚が声を上げれば、二人同時にその声に顔を向けずに答える。
「あ、あのねあのね!人間の人!私の名前はね。セーレっていうの!ねぇねぇお名前教えてよ!!」
「「……あ」」

「あ?どうしたのぉ?」

「そういえばお互いに」
「名前教えてないままだよね僕たち」

「えぇぇ!なんで!?気にならなかったの!?」

「いや、呼び方には困ってなかったしな」
「僕は君って呼んでたし、彼はお前って呼んできてたし……」

「おかしいよお兄ちゃんたち!!」

子供の純粋無垢な反応は。成長した者たちの心を深くえぐっていく。

「……あ~……アルフだ」
「ケイ……って、いいます」

「そっかぁ!ケイお姉さん!これからはセーレとも遊んでね?絶対だよ!?」

下でバシャンバシャンと、本人たちにはパシャパシャと可愛い音なんだろうが。
小さい彼女からすれば恐ろしい轟音だ。

その日はとりあえず水辺で一日を過ごした。
陸地に滅多に顔を出さないというセーレが顔を出し、子供ならではの同属に対する毒舌を他愛ない会話のようにケイに話す。
アルフが顔を抑えて胡坐を掻いて座り込んでいた。

浅瀬にまたケイが入れば、仰向けに浮かんだセーレの平らな胸に乗せられて湖を遊覧した。

夜も水辺の傍で火をたき、昼間に取った魚を焼いて食べる。
セーレは水の中から自分の食事を取って傍で食べる。
ケイはアルフが爪でこそいだ焼けた魚の身を肉まんのように両手で持って齧り付く。
そうして、ある種波乱となった一日は幕を下ろした。


その後日。
セーレ以外の魔物たちもケイの傍に寄りだし、アルフがそれを守ればからかわれケイを手に握ったまま追い掛け回すか、獣に変わってセーレにケイを預けて追い掛け回すかしだすのだが、それはまた別のお話。
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