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1話完結

練習しましょう

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「逃げるなよ?折角綺麗にしたのに汚れてはたまらない」
「っ、いや」
「嫌といっても、それは叶わないからな……覚悟を決めろ」

指先で逃げようとする動きを抑えて、指先でつまみあげる。

「は、離して!私は、食べ物じゃない!」

「さぁて、それを決めるのはお前じゃない……それに俺はお前みたいな小人を踊り食いするのが好きだからな」

「ヒッ…!?」

わき腹を摘まれ、巨大な青年の眼前まで持ち上げられた小さい少女は、目の前で艶かしく唇から出た舌がその唇を軽く舐めたのを見て。
小さく悲鳴を口から漏らして身をよじる。
しかしそんな抵抗もむなしく、唇に身体を寄せられ、目の前でその巨大な口が開き。
真っ赤な口内で、糸を引く唾液を見て目を見開き、悲鳴を上げるがそれは、口の中に押し込まれるように巨大な口腔に入れられれば消えてしまう。






そこで。






「はいカット!カットー!!今日の撮影は終了!!」


そんな声が響いて、少女を口に放り込んだ彼は瞳をそちらに向けてから、片手で口元を覆い、俯いて口を開く。

ボトリと口内の少女が手に落ちたのを顔を軽く離して確認し、ウェットティッシュで身体を軽く拭ってやる。

「大丈夫?気分悪かったら言ってほしい」

「なんとか……大丈夫」

「一応念入りに口臭ケアとかしてたんだけど。気になったなら教えてくれると個人的に助かる」

スタッフが用意した簡単な風呂代わりの湯を張ったマグカップを持ってくれば、彼は彼女をテーブルに降ろしてその場を去る。
彼女は、同じ大きさのスタッフが用意してくれた衝立などを利用して、その場で軽く彼の唾液を流し取るのだった。

















「監督、口の中まで撮るって本気ですか?!」

「本気本気!そのほうが迫力あるでしょ!」
「俺はアイツをあれ以上口の中に入れる気ありませんよ!?」
「えー、だって君たちもっと濃厚なのしてるでしょ?種族間超えて付き合ってるって取り上げられてたよね?」

「ッ! そ、れは」

楽屋で台本を読み返し、次の撮影のシーンを見て彼が監督に詰め寄る。
言い返された言葉に彼が顔を赤くして言葉を濁すと、監督は楽しそうに笑ってその肩を叩いた。

「大丈夫!飲み込んでもすぐに吐き出させてあげるから」

「そういう問題じゃないんですがね!!」

言い争いをしている二人になんだなんだと共演者や他のスタッフが集まりだす。
そこに。

「ヴェンス、何してるの?」
「リジー!お前からも拒否しろ!お前またオレの口に突っ込まれるぞ!」
「……あー、そうらしいよねぇ」

監督の机の一部にくっついている階段から上ってきた、彼の口に突っ込まれていた少女が来て暢気に答える。

「何暢気に返事してるんだ……?事の重大さ分かってるか……?」

ズイッと顔を近づけて凄む彼、ヴェンスにクスクスと笑って、少女はその鼻先を撫でる。

「いいよ?誤嚥しても。
 そのまま一部になるのも素敵かなぁ……?」

「俺はカニバリズムなんて持ち合わせてないんだよ!
 それよりも、おいリジー!カメラで中に入ってるところ撮るって!撮るって!!」

「大丈夫、虫歯一つない綺麗な歯だったから、映っても問題ないと思うよ?」

「俺じゃなくて!俺の問題じゃなくて……!!!」

「おいおいリジーナも監督もあんまりそいつからかわないでくださいよー?」
「へたれなんだから」

「ヘタレ言うな!!!」

落ち着かない言い争い、そんな中精神的に疲弊していくヴェンスを見かねて、彼の同期の俳優達が言葉を投げ、それにヴェンスが目を見開いてそちら

を見て反論する。

「あぁ、もういい!!リジー、支度!帰り支度は!?」
「荷物も持ってきてるし、終わってるよ?」
「じゃぁ帰るぞ!さっさと帰るぞ!!」

顔を離し、両手で包み込むように言いながら己の楽屋に行って、荷物を取ればそのまま帰宅する。
彼らは異種族が多大に入り乱れるこの世界で、俳優、女優としてメディアに出ている有名人であり、付き合っていて。
同棲、しているのであった。






その後、自宅に戻り着替えやら食事やらを終えてゆったりとリビングでくつろいでいるときに。
ふと、リジーナは彼の上着を掴んで引っ張る。
それに軽く瞳を瞬かせて雑誌から視線を外し、雑誌を置いてヴェンスはリジーナを見下ろして、小首をかしげる。

「ねぇ、ヴェンス。どうしてあんなに嫌がったの?」
「そりゃ嫌がるだろ……!だって……!だって!!」

彼の行動の後に口を開いたリジーナの問いに、ヴェンスは顔をしかめて頭を抱える感じでテーブルに額を落とし、その動きに彼の足の上に乗っていた彼女は、服を掴んで登り、肩口から降りて顔の横へ移動する。
覗き込んだ彼は不機嫌そうで、どこか不安そうな顔をしていた。

「だって?」

「お前、濡れるわけじゃん……肌着、肌にくっつくし、俺の唾液だから、その……ローションまみれ、みたいで」

エロくなるじゃん、と。
手を頭から外して、片手を彼女の後ろにおいて。
顔に引き寄せるように背中を押して、頬に押し付けるようにする。

「私のそんな姿、見られたくないんだ……?」

「俺だけ見てればいいだろ!?そういうの!そ、それに俺も……へんなことしちゃうかも、だし」

顔を少し赤らめる彼に、クスクスと彼女は微笑み、目元をそっと撫でる。

「リジー?」

「大丈夫、貴方も私も役者だよ?それに、私達だからあの監督さんもああいうこと頼むんだと思う」
「なんでそう言い切れるの?」
「だって、私はね?私以外の小人の女の子を貴方が口に入れるところ……見たくない。私自身だから、喜んで受け入れてる。
 それに、貴方以外の巨人の口には、男だろうが女の子だろうが、入りたくないもん。
 ヴェンスは?私が、役だからって他の男とか女とかの口の中に入ってほしい?」

「ッ!?い、いやだ!絶対にいや!!」

静かに諭すように言われた言葉に、ヴェンスは彼女を掴んで勢い良く顔を挙げ、顔の前にもって行きながら声を上げる。

「でしょう?貴方だから、気にしない。あの映像を見てファンの人たちがどう思うかとかは二の次」

「リジー……」

「ねぇ、へんなことしないように、予行演習しよう?」
「へ」
「……撮影のときに変なことにならないように、いっぱい練習しよう?
 小さいけど、貴方を満たしたいな?」

開かれている手に寝そべるように座っていたリジーナが立ち上がり、手を伸ばして。
ヴェンスの唇を片手でなぞり、感触に軽く開かれた唇の隙間に手を入れて。
目を見開いて思わず顔を離した彼の前で、彼女は唾液で濡れた手に口を寄せて、ぺろりとその唾液を舐める。

「ッ……!」

カァァッとヴェンスの顔が真っ赤になるのを見て、リジーナは微笑んだ。

「練習、していいよね?」

リジーナのどこか艶っぽいその動きに口をパクパクさせていた彼だが、やがて顔を俯かせて。
こくり、と弱弱しくうなずいていた。





後日、そのシーンを撮影したものの、余りにも表情が扇情的過ぎるということでそのシーンは没。



さらに。



「俺たちすごく練習したシーンあったのに!練習の意味!意味!!」
「いいじゃない。私は楽しかったし、嬉しかったよ?貴方の胃袋綺麗だったし」
「言わないで!それ言わないでリジーいぃぃぃ!!」

「え。練習中に飲んじゃった?!」
「「マジかお前……」」
「でもリジー先輩何処も怪我してませんでしたねぇ、髪も溶けた様子ないですしぃ」

「あぁ、私誤嚥して彼が慌てて水大量に飲んで薄めてくれて」

「ごめん!本当にごめんリジー!!謝るからその話題終わらせてッ!!」


舞台挨拶中に頑張ったところと記者に問われて思わず声を上げたヴェンスに、慰めのつもりで言い放ったリジーナの言葉。
思わぬその言葉にヴェンスが声をあげ、キャスト陣が盛り上がる。
監督がまずギョッとし、同期の巨人、小人の男優が声をあげ。巨人女優がヴェンスの肩のリジーに言葉を投げれば、彼女がニコニコと言葉を返す中。

ヴェンスが反対方向を向いて顔を片手で覆って喚き、それを周りがからかうというカオス空間で舞台挨拶は終わったのである。

ちなみに映画のほうは種族差別物ではあったが最後は和解。一応のハッピーエンドのため人気不人気は半々と言った出来のものになったのであった。
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