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1話完結

馴れ初めは(巨人♂、人間♀)

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キスをしよう の前の話しになります。
この小説には巨人が人間を食べようとする描写があります。
苦手な方は見ないことをオススメ致します。
宜しければ下へとスクロールしてください。
お楽しみ頂ければ幸いです。


………………………………………………………























「お。おいしそうな雌みーつけた」

響いた声にチェリスは顔を青ざめさせて、周りを黒い影に覆われると緩やかにぎこちなく首を動かす。
見上げれば、金髪碧眼の巨人が舌なめずりをして自分を見下ろしていて。

ヤバイ。

チェリスは集めていた薬草やらをその場に打ち捨てて、即行で逃げ始めた。
木々と草葉が生い茂る方へと逃げ込む。
人間を食い物にする、巨人の一人から逃げる為に。

逃げれるわけないのに。

そんな巨人の馬鹿にするような声が聞こえた気がして、チェリスは奥歯を逃げながら噛み締めていた…





あれから、チェリスはフラフラになるまであっちへこっちへと走り続けていた。
しかし、後ろから巨人の足音が消えることはなかった。
ガッ、と止めに木の根っこに足を引っ掛け転ぶと、再び影。
上からさっきの巨人が覗き込んでいた。
「痛そうだね。鬼ごっこはおしまいで良いのかな?」
柔らかい口調だが、チェリスが立ち上がりまた動こうとすれば、おっと、等という声と同時にサンダルに包まれた足が彼女の前に勢い良く踏み下ろされる。

「ひぃっ!」

彼女は声を上げて尻餅を付き、巨人はクスクスと笑って。
「ごめんね。僕もうかくれんぼも鬼ごっこもしたくないんだ。
だって君たち人間は小さくて遅いから、待ちくたびれちゃうんだよ」
固まって動けないチェリスに言葉を投げる巨人の足が木々を踏みにじる。

「さて、じゃぁ良いよね?」

言いながら巨人は片手を伸ばしてチェリスを摘み上げる。
それから顔をまじまじと見つめ、満足げに巨人は笑んだ。

「本当に君、おいしそうだね…
今日は当たりだ」

巨人は彼女を見て囁くと、彼女を胸元のポケットへと一度突っ込んだ。
場所を移動してゆっくりと楽しむつもりらしい。
歩き出して揺れる現在地にチェリスはハッとすると、巨人の胸元を小さい両手で布越しに叩き始める。

「ちょ、出して!下ろして!!」

「暴れないでよ。くすぐったいから…すぐ味わって上げるからさ」
「嫌だって言ってんの!!」

どん、とチェリスが胸を殴り付け、そこの感触が変わってることを悟る。
「あは、元気だね…僕の胸で遊びたいなら、遊んでて良いよ…?
僕の胸も遊びたいみたいだから」
クスクスと馬鹿にするように言い放つ巨人が、布越しに殴り付けていた部分にチェリスの顔を押し付ける。
そこだけがチェリスの顔位の大きさで盛り上がっているようで、チェリスは何かを悟り顔を赤くした。

「こ、この変態巨人…!」
「酷いな。こうしたのは君でしょ?」

チェリスが殴り付けていた場所。
そこは巨人の敏感な所だったようで。

「人間にもこういう使い道あったんだ…なんかクセになりそう。
なぁ、もうちょっと食べる前に遊ばせて」

許可を得ようとするような言葉だが、実質は命令でしかない。
ズ、と重いモノが地面に落ちる音と高度が下がる感触に、巨人が座ったと理解して。

それから巨人はチェリスを使い、暫くの間遊んでいたのだった……








「気持ち良かったよ。ありがとうね?お嬢さん」
「はぁ…はぁ…この、変態…!」
「人間にも食べる以外の使い道があるって提示してきたのはそっちだろ?」
「知るか!」

ひとしきり遊んで満足したのか、ポケットから疲弊しきったチェリスを引っ張り出した巨人は爽やかに笑いつつ礼を述べ、暫く続く言い争い。
それに終止符を打ったのはやはり巨人だった

「じゃ、いただきます」

摘み上げたチェリスを唐突に、容赦なく大きく開けた口に放り込む。
「うぁ」
べちょ、と舌の上に落とされ巨大な歯列の裏が見える。わざとか唇は開かれているまま、後ろから声と吐き出される息に押されて舌に倒れ伏す。
チェリスという人間を口に入れたことで口の中に唾液が分泌され、舌が動きチェリスは翻弄され、足掻きながらも上あごに押し付けられたりと飴玉の様に舐め回される。
「ちょ、やだ!やめ…んっ」
「フフ…元気だね…っ!?」
唐突にチク、と舌に走った痛みに巨人は少し舌の動きを止める。
「調子に、のらないでよ…!」
粘液で濡れそぼるチェリスが顔を舐められようとした時にざらつく舌に噛み付いて反撃したのだ。
しかし、巨人の彼は自分を大きめの飴玉の様に口に放り込める程大きい。
微々たる痛みでしかなかった。
それでも巨人は少し感嘆して口の動きを思わず止めたまま瞳を瞬かせて、自分でも分からないまま自然と口元に笑みを浮かべる。

「へぇ?口に入れられてもまだ足掻くの?」

ねぇ、と声を上げる度に動く舌の動き。
それに舌上にいる小さな人間のチェリスが転がる。
大抵は口に入れてしまえば諦めて大人しくなるか、泣きわめく。
それなのにチェリスは反抗し、出ようと足掻く。
初めての反応と抵抗に、巨人の彼は興奮していた。
そんなことを知るよしもないチェリスは再びガリッと舌に噛み付いて。
ピクリと寝そべる様に下にしているそれが反応するのを感じていた。
巨人は噛まれた微々たる痛みにまるで愉しんでいるような笑みを浮かべ、グッと上を向く。
口を開き外を見せる巨人。チェリスは下に…巨人の胃袋という処刑場に落ちないようにとぬめる舌先にしがみつく。
眼下の唾液溜まりを見ると同時に、舌の根が上に持ち上がり、ゴクリと背筋が凍る音が響けば、舌が戻り唾液は無くなっていた。
チェリスもする、飲み込むという行為。
開かれている唇から外に出ようと上に向かって足掻いた瞬間、ズルッと手が滑り、再び溜まりだした唾液溜まりに落下した。

「ん…フフ」
「――っ!」

下から小さな笑い声が響いて周りの肉が動き出すのを見た瞬間、チェリスは咄嗟に喉奥にある物を握りそれに抱き着き、締め上げる。
「――――ッガ…!?ゲホ、カハ…ッ!」

喉奥にあるものにしがみつかれ、その痛みに巨人は首を戻して手を口に当て、盛大に咳込んだ。

口の中にいたチェリスは咳の暴風により口から吐き出され、手に叩きつけられていた。

暫くして落ち着いた巨人は再び手の平に戻ってきたチェリスを見て、チェリスも巨人を見上げる。

あぁ、次放り込まれたら私、噛み潰されるんだ。

そんな事を思いながら。
しかし、巨人はチェリスを見て愉しそうに顔を喜色に染め、ク、と小さい含み笑いを漏らす。

「僕の口から…巨人の口から逃げるなんて…!君凄いや。アハハハハ!」

笑い、唾液塗れのチェリスの頭に指先を伸ばしてクリクリと撫で回す。
柔らかい動きになんだ、とチェリスは動けずにいて。
「あそこまで抵抗するのはいないよ…君は強い子だね。
僕、君が気に入っちゃった」
グッと顔に寄せられ、チュ、と腹部に巨大な唇を押し付けられる。
「はい…?」
「フフ、困ってるね。カワイイな。
ねぇ、君はなんて名前?僕はジーン」
「…チェリス…」
「チェリス。人間のチェリス。
ねぇ、君の強気な態度…嫌いじゃないよ?僕の彼女にならない?」
「はぁ…?私、食べないの?」
「力強い君を食事にはもうしないよ。味は極上だったけど、ね。
なぁ…僕に可愛がられない?人間のカワイイ、強気なチェリス」

なんだと言うのだろう。
油断させてパクリとやるつもりなのでは、とチェリスは警戒して近くにある唇から顔を背ける。

「あぁ、食べようとしたの謝るから…ね?」
「なら、私を離して。村に返してよ」
「良いよ」

ジーンの返事はあっさりとしていて、同じ様にあっさりとチェリスを地面に下ろしていた。
これにはチェリスが目を見開き、ジーンを見上げる。
ジーンは優しい顔で笑うだけ。

「ほ、本気…?」
「うん。僕は君の強気な所に惹かれたから…本気だよ?
なぁ…僕のになってよ。チェリス」
上から見下ろされ、チェリスは表情から本気と悟ると、なんだこれは、と本気で頭を抱える。
しかし、ジーンが指先を伸ばして来れば、ビクリと震えて逃げ出す。
ジーンは笑顔でそれを見送り、バイバイと手まで振って森に消えるチェリスを見送り。

「また明日ね?チェリス」

そんな事を言って立ち上がり、彼も帰っていく。
そして翌日、人間の森に隠れていた村にまで行ってチェリスを引き出してもらうと、小さな身体を掬い上げて連れていく。

次の日も、次の日も。

そうしている内にチェリスは。

「わかったわ。付き合ってあげようじゃないの。
でも。条件があるわ」
「なに?」
「私の村には一切手だししないで。村人も食べたらダメ」
「なんだそんなこと…?もちろんそのつもりだよ。小さな君のいる住家を壊しも壊させもしないさ。
チェリス、君はこれでやっと僕のになってくれるんだね…ありがとう」

許可の言葉に心底喜ぶ巨人のジーンに、胴体にキスを贈られて。
チェリスはどうしたら良いかわからないまま、喜び勇むジーンに柔らかく抱きしめられ、村から連れ出される。

村人に危害を加えない巨人。

その様子を見た村人たちは顔を見合わせ、素直にとまでは行かないが、二人を祝福していた。

とりあえず、あの巨人がチェリスに飽きるまでは村は無事に済むのだから。

「大好きだよ。チェリス」
「だから恥ずかしい。」
「なぁ、ジーンって呼んでよ」
「ジーン」
「よく出来ました」

二人がこれからどうなるのか…
誰ひとりそれらを知る術は持っていない。
前代未聞のカップルの誕生。
その後はまさに、神のみぞ知るである。
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