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もくじ  3kaku_s_L.png 1話完結
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ウラとオモテ~光と闇~

ウラとオモテ~光と闇~ Act.01

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少女は目覚めるとあの黒い部屋に居た。
しかし、身体は思うとおりに動かない。
わずかに動かせる、身じろぎ程度の動きが出来る体と。
ほんのちょっとだけ伸ばせる腕。

身体の温度が冷えていくのを感じる。

『あぁ、私終わったのね』

掠れながらも出る声に、雪姫はクッと小さく笑う。
母親に殺されるなど、ニュースでしか見たことなかった。
背中、わき腹辺りが熱くて痛い。どくどくと流れ出る液体が床に面している身体を生温く濡らして冷やしていく。
貫通しているのか、前からも流れてはいるようだ。
鉄錆の匂いが充満する。

血の匂いって結構酷い。

雪姫はこのまま意識を手放した場合どうなるかと考える。

死ねるのだろうか。

それでいいのかもしれない。

しかし、遠くで、でも近く聞こえた切羽詰まった聞きなれた男の声を耳が捉えて。
すんなりと終わらせてくれないいるかいないか分からない神様に、雪姫は始めて殺意を覚えた。























グランは再び黒い部屋に訪れていた。
しかし、足元に普段なら居るはずの姿は、見下ろしても見当たらない。
この黒い部屋で、白い肌に白い髪の彼女は浮く。
すぐに見つかるはずだった。

『いないのか?』

この部屋ではしゃべっても、頭の中で考えている言葉のように妙なエコーが掛かる。
ホールのように広いらしいこの空間を、とりあえずまっすぐ歩いて探し回る。
いる、という確信が何故かグランにはあった。

ココにいるのは、自分だけではないという確信が。

いつからだろう。

この黒い部屋に来るようになったのは。
あの少女と会話するようになったのは。

初めは、グランが恐ろしくて会話をしていなかった。
人間とは接した覚えもないし、下手に刺激して興奮させてしまったら、と考えると不安な気持ちが胸中に渦を巻いたから。
初めの頃はまったく、動けていなかった。
白い人間の少女は驚愕の表情を浮かべてさっさと彼からほんの僅か程度の距離を離れて、勝手にこけて。
それでも泣いたりとかはせずにそのままその場に座って、振り向きもせず。
そのまま覚めて、また寝ると同じ部屋に行き着いて、また少女は今度はまた、という顔をして同じように……離れはせず、その場に座ってグランに背を向ける。
グランはまた、動けないまま。
そんなことを繰り返して、グランも座って人間の彼女を観察して。
いつからかその小さな身体に、多数の傷があることに気が付いた。

 『おい』
 『……?』
 『……怪我してるぞ』
 『……同情?哀れみ?憐れみ?』
 『は?』
 『善人ぶらないでっ!!』

声を掛け、反応して振り向いた少女は嫌悪や憎悪を丸出しにした表情を自分より数倍も大きなグランに向けて、罵声を上げて遠くへと走っていった。
咄嗟に手を伸ばしていたが、捕まえることははばかられて。
その手は空に中途半端に伸ばされたまま固まった。

次の日も、少女はグランに話しかけようともしなかった。
座る場所は格段に離れたが。
その日から、たまに少女が無意識に身体をさすったりするのを見るたびに、グランはその傍によって声を掛けていた。
少女がギッと睨んできても、普段どおりの自分で接してやろうと。
だからからかうつもりで捕まえたり、服を引っ張ったりしているときに引っ張りすぎて首を絞めかけたり、身体を締め上げたりとなれないうちはしてしまっていたが、どこか勝気な少女はそれでも罵声を上げるだけでやるな、触るなとは言わない。







『……結構、俺のことを受け入れてくれてはいるな』
歩きながら思い返していた彼はフム、と一つ頷いて。
少し離れた先にある白い小さなものを視界に入れる。
足早に近づき、ツンと鼻を突いた異臭。

鉄錆。

いや、若干生臭い。

……血?

グランはゾッと背筋を振るわせる。

『おい、おいチビ!!』

声を荒げて、思わず数歩先のその場所まで駆け寄り、滑り込むように膝と手を突いて白いモノを見下ろす。
脇腹をどす黒く染め上げ、白い髪の大半が赤く染まるあの白い人間の少女を。

『また、あなた……ほっといて』

か細い、掠れ声。
聞き取れる自信が無いそれも、この空間でははっきりと聞こえる。
『それ、誰に』
『関係ない……私は、終わる……ほっといて』
『終わるって……おい待て!』
『待てない……寒いから……もう、終わる』
『ッ!!』
まじまじと少女を見て気が付いた。
少女は、自分を見てない。焦点が定まらない虚ろな紅い瞳があっちへこっちへと動いているのは認識できた。
咄嗟に少女を両手で掬い上げ、その際に流れ出ていたらしい大量の血液がグランの手指に付着する。

ぽたぽたと、巨人の手から雫となって滴るほどの大量の血液が。

『お前……!』

『……何、その顔……同情なら、いらない……それとも、ペットが死んだとでも、思ってる……?』
『ふざけるな!!』

クッと小さく少女は笑ってスッと意識を手放したようにまぶたを落とす。
瞬間、光を滲み出し始める体。

向こうに帰らせたらこいつは確実に死ぬ。

その考えが脳裏には根強くあった。

だからこそ。

『……許せよ?』

彼は一言告げると同時に、燐光になりかける少女を口の中に放り込んで。
彼も意識を遠のかせていた。







黒い世界で二人が消えるとき。

片方の世界で少女も消えた。









































「ん……?んん……――ッ!!!」
自室のベッドの上で目を覚ました彼は、口の中の異物と錆の味、思わず舌を這わせたその感触に試みが上手く行ったことを悟ると同時に慌てて口を覆って飛び起き、部屋から飛び出した。
洗面台……いや、風呂場!
慌てつつもしっかりと冷静に判断して即座に風呂場に服を着たまま飛び込んで、洗面器を荒く掴むと水を注ぎ、その中に口の中にいる人間を吐き出した。

ぼちゃりと落とされた少女は、周りの水を紅く染めて。
グランも赤い唾液が滴る口元をそのままに赤い唾を全てタイルに吐き捨てると荒く拭って少女の身体や毛髪を出来る限り丁寧に、しかし迅速に洗い流す。
血は止まっていたが、肌色は普段よりも相当悪いものだ。
掠れる小さな、聞き取れるのが奇跡なくらいの声が聞こえた気がして、まだ命はあると考えタオルに摘み上げた少女を乗せ、包んで今度は家から飛び出す。

超絶的に手先が器用な、趣味で人間サイズの獣人などの診療をしている医者の幼馴染の女の下へ。













雪姫はまだ自分は夢を見ているのかと思った。
生温い場所に入れられ、血とは別の粘液がまとわりつく空間。
下から上の硬い天井に押し付けられ、奇妙なうめきのような声が聞こえると同時にその部屋が激しくシェイクされる。
頭を何か硬いものに数度叩かれ、粘液が量を増す。
しかし、すぐに別の冷たい液体の中へと吐き出されると、冷たさに声を上げる。
ピクリとも動いてくれない身体。薄く開いて見えた姿は、あの切羽詰まった青年の顔。
身体を触られているはずなのに感触もそんなには感じられない。
グイグイと身体を洗われ、やがて布にくるまれて揺れる白いその空間の中で雪姫はまたも意識を飛ばしていた……





















「おい、おい!こいつ見てくれ!!」
「朝から騒々しいわね~……何よぉ」
「こいつを見てくれ!死ぬ!!」
「何?急患?なに鳥の獣人かなんか……って……アンタ何やったの!?」
「俺じゃない!いいから見ろ!!」
「ならさっさと寄越しなさいその患者!!!」

ギャイギャイ言い合いながらも幼馴染はタオルに包まれた雪姫を抱き、診療室に入って小ささに四苦八苦しつつも治療を開始し、グランはただ扉の外で待つだけなのであった。













高すぎる天井。雪姫はそれを見て、自分がまだ生きていることを悟る。
痛みは無いが、脱力感は半端無くあって。
そんな中、フッと影が掛かり巨大な顔が目の前を占領した。

「はぁい!起きた?おチビさん」

巨大な見慣れない女の顔を見て、雪姫は嫌そうに顔をしかめる。
「こら、そんな顔しないの!可愛い顔が台無し!
 それにしても反発されなくてよかったわ。私の魔力の波動と貴女の波動、上手くシンクロして傷の治りも早かったし!」
あと三十分くらいは起きれないと思うけど。と雪姫の頭を指先で撫でて微笑む。
「私はね、フェルゼアっていうの。みんなはフェルって呼ぶけど。
 あなたのお名前、聞いてもいい?」
「……雪姫」
「セツキ?良い響きね。貴女らしくて可愛い」
クスクスと笑って身体を離し、フェルゼアは大きな扉から誰かを呼ぶ。
勢い良く入ってきたのは自分を触っていたあの青年。
雪姫はそれをただ見上げるだけ。
「無事でよかった……」
「セツキは暫く動かさないでね?魔力が慣れてない身体みたいだからなじむまでに時間が掛かるわ」
「セツキ?」
「何不思議がってんの?その子の名前じゃない」
「そうか。お前セツキって言うのか……俺はグランだ。覚えろよ」

「名前名乗りあってないんかい!!!」

フェルゼアのつっ込みに青年……グランは楽しそうに笑うだけ。
雪姫はそれを見上げつつ、これからどうすればよいのかと必死に考えていたのだった……







Act.01 サヨウナラ。そしてコンニチハ?

(寝すぎた後みたいに身体が重いの)
(とにかく生きててよかった)

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