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Lizerdia-リザーディア-

巨人と小人関連のイラスト、小説等を扱うブログです。

神と生贄(イメージ)

イラスト

神と生贄


この構図が浮かんでからガッと描いて、小説も浮かんだので一日で仕上ました。
相変わらず低クオリティですけど(涙)
あぁ、連載が遠のいていく……!orz

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神と生贄(巨人♂、人間♀)

1話完結


「怖がらなくていい。何もしない」

生温くて上下する床の上で、遠近法が狂ったように大きな顔が見下ろしてくる。
獣のような、目。

え。コレは何?

夢なら醒めろ、と彼女は自分の頬を引っ張りつねる。
そんな様子を目を瞬かせてから苦笑交じりに見下ろし続ける顔。

痛い。痛い。

ということは、現実?

「……どうやってここまで来たか覚えてるか?」
「……え……と」

ぼんやりと彼女は思考をめぐらせる。
自分の村ではちょっとした言い伝えがあり。
生贄を何年かに一度差し出す風習があった。
ちょうど今回、その年で。
自分はそれに選ばれて、簡素な服で禊ぎをしていて……あれ?

その後が、思い出せない。

不思議そうに頭を抱える彼女の様子を見て、そのまま巨大な男は困ったように小首を傾げる。

「……お前。クレイルの生まれか?」
「え、あ。は、はい!」
「なるほど……俺がうたた寝してる間にもうそんなに時間が立っていたか……」

顔を横に向けてため息を吐き出す。
その瞬間に床が深く沈めば、彼女は自分が座っている場所は彼の上なのだとようやっと理解した。

「生贄、か」
「……は、い……あ、あの……もし、かして……」
「……」

自分の出自の村の名前を出された彼女の問いかけに近しい言葉に、彼は。
首を僅かに傾がせてから上体を起こすように肘を地面につけて。
そのせいで床が斜めになり、バランスを保てず後ろに転がりかけた自分の上にいる小さな彼女に手を添えてそれを防ぐ。
彼女はそれに目を白黒させながらも、自分で身体を支えるように両腕を前後につければ、彼を再び見上げる。

「……アナタが……神様、でしょうか……?」

「……そうだな……一応、ここの神だ。こんな格好だが」
今時なシャツを視線で示し、苦笑する男……神。
ということは、と彼女は顔を若干強張らせる。
「……私を、食べちゃうんですよね……?」

「は?」

彼女の言葉に、きょとんとした様子で神は瞳を見開いた。
そんな彼に、彼女はぎょっとして。

「え……えぇぇ!?
 は?って何ですか!?なんなんですか!?」
「いや……食べる……とは……?
 俺が、お前を、食べる?いや、確かに食べやすい大きさではあるが」

なんとなく怖いことをあっさりと言いながらも、神は思案する。
暫く奇妙な空白の間が続いて、彼は一つうなずいた。

「なるほど時間がたつにつれて変な風に解釈されたな……?
 別に俺は、物を食わなくても生きていける。神だから」

「え?」
思わぬ言葉に、今度は彼女がきょとんとする。
そんな彼女に手を添えるように近づけているまま、巨大な神は一人だけすっきりした顔で笑みを浮かべていた。
「生贄を要求したのは俺がまだガキの頃か」
「……神様にも、幼少期とかあるんですか……?」
「そりゃ、あるぞ?神だって生きてる。巨大ゆえ下界に影響を及ぼさないように霞……空気や草木、澄んだ水、そんな物の自然的なオーラを吸収するだけで生きていけるようになっているからな。
 人間のように産みはしても物を与えたりすることはない」
「はぁ……」
いきなりな解説に唖然とする彼女を見下ろして、彼は真面目な顔になった。
その差に、思わずまた身を硬くする。

「生贄を要求した理由は、寂しかったからだ」

「はい?」

「ガキの頃の俺は寂しがり屋でな……恥ずかしい話、話し相手がほしくて一人寄越すように頼んでいた。
 まぁ、死ぬまで傍に置いて村に戻した覚えは一回もないが……食い殺しているわけではない」

村人を帰さない。
まぁ、帰ってこなかったなら食べられたと思うのは、小心者の人間ならではの思考である。
それならば、と彼女は神を見上げた。
「……じゃぁ、私は……どうなるんでしょう?」

「まぁ……今更返しても、前例のないことだから人間は逆に恐怖してお前を殺す確率が高いな」

「そうですね、良くお分かりで」
「神だからな」
事実を述べるように威張ることなく淡々と言われると突っ込む気も失せて。
脱力した彼女の身体を、巨大な指が背もたれのように受け止める。
「それもそれで後味が悪い。また別の奴を送られてきても困るしな……」
仕方ない、と彼は息を吐き出す。
生温い吐息が彼女の身体を撫でた。
「お前、名前は?」
「……メリル、です」
「そうか、メリル……悪いが、死ぬまでここにいてもらう……まだ先のある満ち溢れた年頃なのにな。すまない」

「少し年上くらいの外観のヒトにお爺さんクサイこと言われてどう反応しろと」

「意外といい反応をする……まぁ、許せ。神だからな。これでももう何千年と生きている。
 今日のように生贄が落ちてくるまで寝てるときもあるから、年齢なぞ覚えてないがな」

「あの、一ついいでしょうか」
「なんだ?」
「人間は老い先短いですよ」
「知っている……だからできるだけ互いが楽しめるようにと最善は尽くしている。
 亡くなった後、その身体を無碍に扱ったりもしたことはない。
 俺は人間が好きだからな。人間狂い、というわけではないが」

真剣な応対に、メリルはバランスを取り真っ向から、同じように真剣に神を見上げる。

「じゃぁ、名前教えてください!神様の!!」
「……なに?」
「だって、私まだ10代です。あとおよそ80年近くはきっと神様の傍にいるんです。
 そんなに長い時間で、ずっと神様神様っていって距離を置くのも、おかしいじゃないですか。
 そんなんで本当に、お互いが楽しめますか?お互いに気を使うだけじゃないですか?
 神様だから、人間だからって」

メリルの言葉に、神が瞳を見開いた。
自分の身体の上に乗って、片手で握り締められるくらい小さな人間の少女。

こんな人間は今までの生贄の中でいただろうか。
きっと、いない。




いなかった、はずだ。




ずっと彼自身が気にしていたことだった。
生贄としてやってくるのは少女ばかりで。
全てが自分を見上げて恐れおののき、声を掛ければ是しか示さず。

実際、その生贄たちや彼自身、本気で会話を楽しんでいたかと聞かれれば。
あっさり楽しい時間だった、と言えるほどの物でも確かになかった。

どこかで、一線溝を互いに引いて。
結局は神である彼が好き勝手に扱っていただけに過ぎない。
意思のある、何でも言うことを聞く人形でつたない一人遊びを遊んでいるだけだ。





しかしこの少女は、メリルは違う。





「えっと……あの、ちょっと、図々し過ぎました……か?」

瞳を見開いたままメリルを凝視し続けていた彼は、不安げな顔と声を見て、聞いてハッと我に返る。
思案から、過去のことから抜け出して、それでもなお不思議な物を見るかのようにメリルを見下ろし続ける。

「……お、怒っちゃいました……?」

不安そうな声に、本気でどうすればよいかとおろおろする様はどんな人間でも変わらないなと感じながらも、彼は首を横に振っていた。
「少し驚いていた……そんな風に俺と真剣に向き合う贄は……人間は、今までいなかったからな」
「へ?」
「お前は始めての人間だ。自我のある、本当の人間がやっと来た……
 こんなチャンスは、まだ長い時間の中でもきっとないな」
何処か嬉しそうにメリルを見つめてそういう神に、メリルはどういうことだろうかと思案するが、大きな手に両側から包まれるように持ち上げられ、本格的に上体を起こした神を見上げる。

顔が、ゆっくりと近づいて。
巨大な両の獣のような金の瞳に自分が映っているのを見つめた。
神は、自分の手の中にいる小さな人間を見つめ続ける。

嬉しそうに、瞳が細められた。

「この状態でも、俺は今とても楽しいな」
「……私は何がなんだかわからなくて、楽しめてませんけど……!
 本当の人間ってなんですか?前の人達も人間のはずなんですけど……!?」

「お前に比べたらあれは人間ではないな」

「どういう意味ですかそれ!?」
「気にするな、気にするな。メリル」
「ごまかさないでください!」

「俺の名前だが」

楽しそうな顔から紡がれるからかうような声に、メリルが真剣に言葉を返していく。
嘘偽りないその響きに、本当に心のそこから久方ぶりに神は喜んでいた。

名前、という単語を出した途端に静かに続きを待つ少女を見下ろし続ける。

「……○×□△▼◎」

「はい?」
「わからんだろう?」

楽しそうに、しかし困ったようにクスクスと笑う巨大な相手を見上げてぽかんとするメリル。

「え。何ですか今の。風音みたいな」
「俺の名前だ」
「いえませんし聞き取れませんあんなの!!」
「しょうがないだろう。神はもともと下界の言語とは別の言語を使ってる。
 名前をここではどう言えばいいのかわからないんだ」
「そんな……」

そろそろと顔をうつむかせて落胆するメリルの背中に指先を擦らせる。
ピクッと小さな身体が震えるが、跳ね除けようとはしない。
しかしやがて、ガバッと勢い良く頭を上げて。

「だったら、私がつけますよ!神様の名前!!」
「……は」

「図々しくても何でもいいです!楽しく神様が過ごすために捧げられたならとことん、楽しみたいんです!
 そのために名前はきっと不可欠ですから!!」

元気良く、突拍子もないことを言い放つメリルを見下ろして、神はまた呆然とした顔をする。
どんな名前がいいだろうか、とあーでもないこーでもないとぶつくさ言い出しながら指折り候補らしい単語を紡いでいく声を聞きながら、神はまた小さく笑った。

本当に、今までの人間とは格が違う。

「神様!神様って山の神様なんですよね?!」
「あぁ、そうなるな」
「私たちは貴方のことを、祭事の時はツチガミ様とか呼んでいたんですけど」

「……中々に、古風な」
「ちょ!年齢何千歳な神様本人が古風とか!!」

「おいておけ。それで?お前が俺につける名前は決まったのか?」
いらん突っ込みを思い切り殺して、神は楽しそうにメリルの様子を見下ろし続ける。

「大地、にちなんで……アースとか。安直ですみません」

シュンと手の中で落ち込むメリル。神は安直だがその名前を頭の中で反芻するように呟いてみて。
やがて、背中を突いて意識を自分に向けさせた。

「ぁ――神様……?あの、えと」
「……酷いな。今しがたアースとお前が別の名前をくれたではないか」
「え」

「くれたからには、その名前で呼べ。……楽しませてくれるんだろう?メリル」

文句の一つでも食らうかと覚悟していたメリルは、自分の声を遮った神……アースの言葉に目を瞬かせる。

「俺もお前にできる限りのことはしよう。俺も楽しませてやる。できるだけ」
「……アース、様」
「様もできればいらない」

「えぇ!?」

「なんだ?自分からあーだこーだ言って、結局は神だからと溝を作るか?」
「そ、そんなことしません!!」
「じゃぁ、互いに呼び捨てだ。メリル」

いいな?

片手に持ち直され、空いた手指の指先で彼から見れば楊枝のような片腕をつままれる。
メリルは、アースを見上げて少し困ったような顔をするものの。

やがて。

「わかりました。これから思いっきり二人で楽しみましょうね!アース!!」
「望むところだ……世話になる」
「こちらこそ!」

摘んでいるその指につままれていない手を添えて、笑顔で見上げて声を上げていた。
それに嬉しそうにアースは笑みをたたえて頷いて。

寂しがりな神の世話……もとい、遊び相手になった人間の少女の生活は幕を開けた。






それから過ごして行く中で。






「なぁ、メリル」
「何でしょう?」
「……その敬語は……」
「え?小さい頃からですけど……ダメ、ですか?」
「…………時折思い切りタメ口のような口調で突っ込んでくるではないか」
「な、何と言いますか……!あれは、クセみたいな物で……!」

「……善処しよう」

「ちょ!アース!!気に入らないなら頑張って直しますから!!」
「いや、それはそれでお前の個性で持ち味なのだ。無理して変える必要はない」

「カッコイイこと言ったそのすぐ後でへこまれるとそうは見えないんですけど!!!
 ……あぁ!!ごめんなさいごめんなさい!謝りますから!そんな風には見えませんから落ち込まないで!!」








互いの一挙一動に二人とも振り回されるようになっていたのだが、それを知るのは当人たちと山の動物たちしかいない。

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縮んだようです

イラスト


KAITOがアイスを食べてる内に縮んだようです。
何故かミクが楽しそう(←)

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Wデート?(巨人♂♀、人間♂♀)

1話完結

電話で聞こえる間延びした声が、彼にとっては恐ろしい事実を告げる。

『あのね、涼くんあのね!!お兄ちゃんが今日は家にいるっていうの!!
 だからね、涼くんをこないだ言ったように紹介してあげようと思って!!』

「あの、優菜くん?」

『だからいつものあの屋上に来て!私のお家に今日は連れてってあげる!』

「いや、だからあのな」

『それじゃ、後でね!すぐ着てね!!?』

プツッ。ツー、ツー……

人の話も聞かずに切られてしまったその電話。
携帯電話を握り締め、彼は。





「人の話をちゃんと聞けえぇぇぇええええぇッ!!!!!」





「ちょっと涼うるさいよッ!」
「スンマセン!」

部屋の中で出かける支度をしつつ叫び、部屋の外から聞こえた母親の罵声に思い切り謝罪していたのだった。























あれから数十分後。
涼は待ち合わせ場所ですでに待っていた優菜に有無を言わさず抱き上げられ、彼女の家へと連れて行かれていた。
巨人の町に入るのは初めてじゃないが、誰かの家、というのは初めてで。

「お兄ちゃん!今入って大丈夫ぅ?!」

『何だいきなり……まぁ入るなら入れ』
玄関から入るなり二階へと大好きな涼を手に抱いたまま上がって、一つの部屋をノックしながら声を上げる優菜に答えたのは、気だるげな声で。

「わーい!お邪魔します!」

元気に声を上げて涼を乗せていない手でドアを開くと、シンプルな部屋の中、パイプベッドの上に座り壁に寄りかかるような状態で本を読んでいたらしい眼鏡の巨人男性が一人。
彼が見た顔と一致するが、あの時は眼鏡はなかったために一瞬誰かわからなかった。

「なんだ優菜。最近は外に出ることが多いのに、もう帰ってきたのか?」
「お兄ちゃん忘れちゃったの!?出かける前に会わせたい人がいるから迎えに行って来る、って私言ってたよぉ!」
「ん?……そうだったか?」
「もう!」

プリプリと怒る優菜に、ニヒルな笑みを返す兄。

いや、覚えてる。覚えてて忘れたフリをして妹の反応を楽しんでる。コレは。

涼が汗を流しつつ呆然としていたところで、兄と視線がかち合って。
兄はさらにニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる。

……あれ?俺マジで死亡フラグ立っちゃった?むしろ確実に終わる?

嫌な汗が背中まで流れて、そんな中で優菜が涼を兄に向かって差し出すように指し示し。

「あのね、この人!同い年の人間の男の子で、涼くんっていうの!
 いつも一緒におしゃべりしたりしてるんだよ!」
「……ほぉ」
「は、はじめまして……水無月 涼です……」
「コイツの兄の瑠維だ。よろしくしておいてやる」

「ね?お兄ちゃん優しいでしょ?」

「……ソーデスネ……?」
爛々と意地の悪い瞳がきらめいてジッと見つめてくる様は狙われているようで恐ろしい。
それに気づいていない優菜がいつもの調子で声を上げれば、乾いた声で返すしかない。
そこで優菜が不意にハッとした顔をして。

「あ、お茶菓子あったかなぁ……!ちょっと調べてこなきゃぁ」
「なら優菜。涼くんは俺と待たせておくからちょっと見てきてくれ。
 たしか昨日、母さんが買ってきてたモノがまだあったはずだぞ」
「あ、本当!?じゃぁ涼くんといっぱい話して仲良くなっててね!お兄ちゃん!」
「善処しよう」
「えぇ!?いや、俺の意思はンガッ!?」

思いっきり優菜の手の上で抗議していた涼の身体を優菜の手より一回り大きな瑠維の手が握りこんで言葉を途中で終わらせ持ち上げる。

「お兄ちゃん、あまり乱暴に扱わないでねぇ……?」
「人間の扱いは心得てるぞ。安心しろ」
「う、うん……すぐ戻ってくるから、涼くん待っててね!」

上半身を握りこまれた涼の姿にさすがにただならないものを感知したかあせる優菜に笑顔を返す瑠維。
それに困った様子を見せつつも、急いで帰ってこようとあわただしく部屋から出て行く優菜を見送った後、瑠維は手の中の涼を自身のそばに転がすように開放する。

「げほっ!死ぬかと思った……」
「絶妙な力加減だっただろう?」
「お、お兄さん……俺に何の恨みが!?あったばかりですよ!?」

「いや、お前の話を妹から聞かされ続けていて……なぁ」

片手で持っていた本に栞を挟んで涼とは反対にある広大な枕において。
瑠維は涼を見下ろしてそれはもう、満面の笑顔を顔に貼り付けて見下ろした。

「妹に何をさせていたのかな?お前は」

「マッタク身ニ覚エガアリマセン」

いきなりなんだ、とその笑顔の黒い奥にある迫力に思わず片言で反論をする涼に、瑠維は何を言うか、と肩をすくめた。

「妹の胸に体を埋めたりしたことがあるそうじゃないか?」
「あれはアイツが勝手にやったことです!!!」

どんなこと伝えてんだ!と顔を紅くしつつ反論する涼に指先を突きつけて瑠維は顔を少し剣呑なものへと変えて。

「どんな理由であれ女に責任を押し付けるのは最低な行為だぞ?ん?」
「お兄さんドSとかってよく言われませんかぐぇ」
「お前は一言多いとか言われないか?」

突きつけられた指先で胸を突かれ、ベッドの上に転がされた涼のその上に一抱えはある太さの指先が押し付けられる。
クツクツと愉快そうに喉の奥で含み笑うその顔に涼は嘆息しつつ、苦しいが死ぬほどでもない、本当に絶妙な力加減の中でおとなしく瑠維を見上げていた。
しばらくして指先がどかされ。
起き上がった涼を見下ろして瑠維は眼鏡を外す。

「まぁあの妹はすこし甘えん坊だからな。お前のような奴のほうがちょうどいいか。
 泣かせたりしてもいいがあまり酷かったら俺がお前をプチッと踏み潰してやるから覚悟しろ」

「別にまだ付き合ってませんから!泣かせるつもりはもちろんありませんけど!!」

はいはい、と意地の悪い笑みを浮かべて眼鏡ケースに眼鏡をしまう様子に信じてない、と涼はうなだれる。
しかし、そんな時に瑠維は本を置いたほうのスペースを見て、グッとそちらに顔を下ろす。

「おい。そろそろ起きろ……そんな風にやったってダメだ。起きろ」

顔をさらに下ろして、瑠維が顔を元に戻したときに見えたものに涼はぎょっとした。
瑠維の口に、人間が一人咥えられていたから。

「え、ちょ!?」

「んぁ……ん」
涼を見下ろしてから瑠維は咥えていた人間を指先で摘んで手の平に転がし、動かないそれにさらに唇を寄せる。

「だから。起きろ小夜」
「瑠維さぁん……ん~……もうちょっと」
「起きろって言ってるだろう……まったく」
チラ、と唖然とする涼を見下ろしてからやりにくそうに視線をずらし、顔を反対に向けて人間を乗せた手をその口元にさらに寄せていく。
動きははっきりと涼にも見えていて。

「ん……」

瑠維のわずかな声が響いて、しばらく動かなかったその手がわずかに離れるのを見た後。

「る、瑠維さん!!苦しかったです!!」
「起きないお前が悪い……いいだろ。どうせもう付き合ってるんだ」
「で、でも、でも……ッ!
 は、恥ずかしくて……!!!」

「ほぉ?それは良いことを聞いたな」

「ひぁっ!!」

ドSだ……本当にこのお兄さんはドSだ……!

聞こえる会話になんとなく起こっていることを予想して、やがて身体の向きを元に戻した瑠維は涼のそばに手に乗せていた人間の小夜を下ろし、二人を見下ろす。

「小夜。俺の妹の彼氏、涼だ」
「な!?だからちが!!」
「優菜ちゃんの彼氏さんですか!?
 うわぁ、そうなんですか!優菜ちゃんかわいいですもんね」

「人の話を聞いてください……」

「瑠維さん。なんだか涼さんが打ちひしがれちゃいました」
「照れ隠しだ。気にしてやるな」
「そうなんですか!?」

「違うわあぁぁぁぁあ!!!」

「お待たせぇ!涼くんすごいねぇ。人間なのに廊下まで声響いてたよぉ~?
 あ!小夜さんやっぱり来てたんですねぇ。良かった~、小さいコップも二つ持ってきて!」
「用意がいいな。さすが優菜」
「えへへ~」

「…………もう、どうとでもなりやがれ」

打ちひしがれた状態でがっくりと気を落とした涼の背中を、まぁまぁと小夜がさする。









その後、始まった簡易なお茶会。









「ほら小夜。食え」
「わぁ、ありがとうです瑠維さん!大きい角砂糖~!涼さん、涼さんすごいですよね!ほら一抱え!」

瑠維が小夜に摘んだ角砂糖を手渡し、それを見て感嘆した小夜は反対に座る涼の方に砂糖を見せるように持ち直してからニコニコと声を上げる。

「小夜さん……服砂糖だらけになってますよ……」
「じゃぁ涼くんにはこっちぃ~!はい、チョコチップクッキー!」
「お、おぉ、サンキュー……ってデカイわ!!」
「人間は便利だな?巨人の一口大の食べ物でさえ一抱えか……」

汗を流しつつ涼が静かに言葉を投げれば、優菜からこちらは一抱えあるクッキーを渡されて、円盤のようなそれを持ちつつ突っ込んでいた。
瑠維のしみじみとした言葉に、シャクシャクと角砂糖を齧りつつ頭を指で撫でられた小夜は照れたような笑みを彼に送って。
それを見つつも涼は別のことに考えが行っていた。

「小夜さん、虫歯なりますよ」

「大丈夫です!歯磨きはちゃんとさせてもらってますから!」

「……あぁ、そーですか……」
小夜の元気良い発言に涼が言葉を失い、クッキーを一口やっと齧ったその後で。

「小夜。もう一ついるか?」
「じゃぁちょっと削ってください!」
「面倒くさい注文をしてくれるな」
「すいません」

純粋な小夜とその要望どおりに自分のスプーンで角をこそぎ取り差し出す瑠維。
受け取った小夜を見て残りの砂糖をカップに放り込んで混ぜつつ砂糖を頬張る姿を見下ろし続ける彼を見て、涼は優菜を見上げた。

「釣り合い良いんだな」
「小夜さんとお兄ちゃんはね、本当に仲がいいんだぁ!初めはお兄ちゃん人間に興味なかったんだよ?」
「そうなのか?」
「うん!小夜さんが変えてくれたんだって一回見ただけでわかっちゃったんだぁ。お似合いだよね~?羨ましいなぁ」
「羨ましい?……何が?」
「私もね?涼くんと……その、あんな風になれたら良いなぁって思ってぇ……」

「……ッ!!?」

涼の顔が赤くなり、二人を見ていた優菜が涼を見下ろして、少し紅い顔で照れたように微笑んで。
さらに顔を真っ赤にせざるを得なくなった涼は前を見つめなおして。

思わぬ光景に目を丸くする。

「砂糖だらけ。甘ったるい……ただでさえ甘い身体をしているのにな」
「ちょ、瑠維さ……!涼さんたち、見てますよ……!!」

いつの間にか小夜を捕まえ、その服や顔に舌を這わせて砂糖を舐め取る瑠維の姿を目に映して。

「お、お兄ちゃん!?何してるのぉ!?」

優菜もそちらをやっと見たらしく、ぎょっとして声を上げる。
瑠維はその声に涼と妹の優菜を見て、ニヒルに笑った。

「あぁ、人間はな?こうされると喜ぶんだぞ。優菜」
「え~?そうなのぉ?」
「涼君にもお前がしてあげたらどうだ?ちょうどクッキーのカスまみれだし」

「わ、わかった!私がんばるねぇ!」

「は!?おま、待て激しく違っ!」
瑠維の言葉に騙されて涼を捕まえると優菜は涼を口元に持っていき、少し恥ずかしそうにしつつも薄く口を開いて。
それを見た涼は。

「だから!人間はそんなことしても喜ばねぇし望んでもいねぇって言ってんだろーがッ!!!」

兄のまねをしようと優菜が舌を伸ばしかけた瞬間。
鼻っ面を押して思いっきり反論する涼の言葉がやっと耳に届いたらしい優菜は固まり。


「え、えぇ?そ、そうなのぉ……?!」
「そーなんです!!」

「優菜ちゃんに嫌われますよ、瑠維さん……ッ!ん、むぅ……る、瑠維さん、顔はちょっと苦しいです……」
「俺は思いっきり好きな人間とのスキンシップ方を伝授しただけだから。問題はない」

問題ありすぎだろ……!!

まだ付き合ってもいないのに、キス以上に濃厚なことをやらされかけた二人は、目の前の年上カップルの様子を見た後で顔を見合わせ、気恥ずかしさに動けなくなってしまうのだった。
















そしてさらにその後。


「もう、瑠維さんせめて一言言ってから始めてください。あと、人目につかないところがいいです!」
「どうせ服の替えはおいてあるんだ。洗濯もこっちでするし、いいだろ?」

「「(着替えあったんだぁ……)」」

思う存分砂糖を舐め取られた小夜をつれて瑠維が洗面台にいき、その後戻ってきた二人の会話に、優菜と涼はうわぁ、と頭の中で声を上げる。
しかし、それと同時に二人は顔を見合わせた。

もし。

もしあの時優菜が涼を瑠維が小夜にしていたように舐めていた場合。
濡れ鼠のような状態で涼は自分の家に帰らなくてはいけなかったのではなかろうか。

二人が瑠維を見つめると、瑠維は小夜を手に乗せて愛でながら視線を合わせて、にやりと笑う。

「涼くん。今度はねぇ、あのぉ……お兄ちゃんいないときに、家に来てお話しない~?」
「……あぁ……そーだな……」

自分たちの安全のために。
お茶会だけだったのに、妙に疲れた二人の間でそんな約束が交わされたのである。

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(獣耳注意!)篭の…

イラスト


…ボカロ曲聴いて浮かんでガッと描いてみました…
結果、後悔orz

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プロフィール

スノイリス

Author:スノイリス
性別:♀
ファンタジー王道の巨人や小人が大好きな故…
人間と小人、巨人と人間といったCPを書きなぐります。
ほぼ自己満足なものが多いと思われますが、よろしくお願いします。

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